2010641 ランダム
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第3話 解かれる封印

第3話 解かれる封印

「大丈夫か!すぐに助けてあげるからね!」

声を掛けると、微かに目を開く少女。
まだ、幼いその子に優しく声を掛けながら少しずつ瓦礫を動かすシンジ。
その時、背後で凄まじい轟音と共に自衛隊のヘリが墜落し、爆発した。
ほかの部隊は全て撃墜されたのか、それとも撤退したのか。
もはや影も形も見えない。

HG 第3使徒サキエル

HG 第3使徒サキエル

廃墟と化した街中で、巨大な怪物がひっそりと立っていた。
シンジと少女以外誰もいない街で、怪物がじっとこちらを見ている。
怯える少女を背後に庇いながら強烈なプレッシャーに震える足を押さえて必死に踏みとどまるシンジ。

と、ついに背後の少女が堪えきれずに甲高い叫び声をあげた。
この声に刺激されたのか、怪物は二人に向かって歩き始める。

「逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ!!逃げちゃ駄目だ!!!逃げちゃ駄目だ!!!!」

一瞬、羅漢寺での思い出が走馬燈のように脳裏をよぎる。
逞しくも優しかった男達との生活。
交わした会話の一つ一つが浮かんでくる。

「御仏の心を忘れるでないぞ!」(倉 管長)

「気にくわんやつなど叩きのめしてしまえ!」(龍 和尚)

そして、ドクターナーマオウからの忠告。

「良いですか、シンジ。あなたは一度死にました。
死んだあなたを生き返らせるために、私は禁じられた改造手術を行ったのです。
これは人として許される事ではありません。
何故ならこの手術のために、あなたは人では無いモノになってしまったからです。
せめもの償いに、あなたが普通の人として生きられるように真の姿、能力を封印しました。
良いですか、決してこの封印を解いてはいけませんよ。
一度、封印を解いた体が再び元の姿に戻れるかどうかは、私にも分からないのですから・・・・・・・・・。」

小さな頃から何度も何度も聞かされた注意。
決して解くつもりの無かった封印。

ふと、振り返って見た少女の表情は恐怖のため凍り付いていて・・・・・・・、かつての自分の姿がダブって見えた。
少女を背に怪物の前にゆっくりと立ちはだかったシンジの目には、揺るぎ無い闘志が燃えていた。

 続くぞ!


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